根付と提げ物展

NetsuketoSagemono「根付」と「提げ物」と言われて、みなさんすぐにピンと来ますか?
主に使われていたのは江戸時代です。

元々男性の着物には振り(袖付け~袖下までの開いた部分)がなく、(それを人形と呼ぶ)縫い止められ袋状になっています。
なので、元々ポケットのように扱うことが出来ました。

その他に腹巻きには財布を入れたり、懐中にはてぬぐいを入れたり、いくつか収納場所があります。

「提げ物」とは巾着や印籠、たばこ入れ(刻みたばことパイプのセット)のことをいい、それを紐や鎖を長く伸ばして留め具に結び付けていました。その留め具が「根付」です。
紐等を帯の間に通し、根付を帯にひっかけ提げ物が落ちないよう工夫されていました。

たくさんポケットがあるにも関わらず、わざわざ帯から提げていたということは、わざと見せてたアクセサリー的な扱いであり、こぞってお洒落と粋を競い合っていたということです。

 

印籠と言われると、水戸黄門を思い出す方も多いと思いますが、中身は朱肉と印の入れ物です。
そしてやがて薬も入れるようになりました。

4段5段に別れているものが多く、数種類の薬等を持ち歩くことが出来た優れもので、一見するとゴロンとひとつにしか見えないところに、日本人の技術の高さが伺えます。

ドラマでは紋所という、いわばロゴ・マークを見せることが目的ですが、八兵が食べ過ぎて腹痛を起こした時に「腹痛止めの丸薬」を取り出すシーンもあるので、薬籠に土下座していたことになるのかも。
話はそれましたが、、、。

 

根付は帯の間をくぐる為にサイズとして制限があるので、手のひらに収まる大きさが限度でした。
そこに表現される題材は、中国・日本の故事や物語、獅子や龍などの霊獣、十二支をはじめとする動物や、植物・魚介・昆虫類、あるいは玩具や器物、伎楽・舞楽・狂言の面、七福神といったものまで実に多彩で、精巧な彫刻や細工を施したものが見られ、日本独特の美を生み出しています。

表情豊かでユーモアがあり、風刺やトンチの効いたものは会話の糸口になったでしょう。
蒔絵や螺鈿を施した書道箱の中にすずり箱があり、中にすずりがある。墨があり筆まである。
着物を着た女性の下半分が脱げて裸になる。
魚を持ちながらコレめっちゃ臭いよ~という顔の侍。
あっと驚く趣向がされていたり、とことんクールだったり。
男性独特の楽しみ方が随所に見られます。

 

根付の素材は、黄楊(つげ)・黒檀・一位(いちい)等の固い木材が最も多く、次いで象牙・鹿角(かつの)等の牙角(げかく)類、その他陶磁、金属、骨、竹、貴石、鼈甲、珊瑚、ガラス等多岐に及んでいます。

制作法もまた、これらの素材に応じて木彫、牙彫(げぼり)、蒔絵、螺鈿、彫金、七宝、柴山細工等さまざまです。

 

幕末の開港以来日本を訪れた外国人たちは、この小さな工芸品に魅せられて、欧米の人々を中心に、広く根付の蒐集が行われました。

そのため、かなりの数が海外に流出したことも影響して、根付けは国内よりも海外で高い評価を受けることになります。

明治・大正・昭和初期に渡って制作(輸出用として制作したものも含む)されたものも、その多くは海を渡り、それは太平洋戦争中の一時期を除いて戦後まで続きます。

 

そして現在も現代根付として活躍する作家さんがいらっしゃいます。
象牙彫刻出身の作家さんが中心だった根付けの世界にも、ジュエリーや漆芸といった他業種の人々が加わり、新しい素材を使用するなど現代的な感覚を持った作品が生み出され、日本の伝統を踏まえた新しいアートとして注目を集めています。
そして世界でも「根付=NETSUKE」です。

根津の根付屋&Gallery 花影抄
(骨董から現代根付は海外ファンが多く、eBayのオークションや骨董商において、高値で取引されています。)

 

根付に代表される「小さなものを賞(め)でる」という日本人の持つ趣向の遺伝子は、現在は携帯電話のストラップにそのカタチを見ることが出来ますし、
フィギュアやプラモデルなど日本の精巧なおもちゃは海外で変わらず高い評価を得ています。

日本人はそのDNAのせいで、物作りに関わらず、ついついとことん本気にハマリやすい民族と言えるでしょう。
そして本気になれないことは辛い状況かもしれません。

 

現代は何でも簡単に手に入ってしまい、充足感が持続しにくいですが、早くて安くて簡単は一見楽しそうでも、そのせいで枯渇しているのかもしれません。

今日明日で簡単に出来てしまうものではなく、時間や手間がかかるものをじっくり作ってみると、案外多くの達成感や喜びに満たされ、やっぱり心地良いと感じるかもしれません。

そして買う側も簡単に手に入るものではなく、じっくりじっくり考えて美意識を持って良いものを買い、そのストーリーを味わい尽くすことにより高い楽しみを感じるかもしれません。

 

日本人はCOOLなものを作るよね!と今も海外の方に言われています。
みなさんも是非目覚めて下さい。💕
そして男性もかっこ良く浴衣や着物を着て下さい。

 

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「麒麟」 銘:無銘/時代:古典根付/素材:象牙/寸法:10.8cm 個人蔵
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「松茸狩り」 銘:玉藻/時代:近代根付/素材:木/寸法:3.5cm 個人蔵
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「按摩」 銘:藻己/時代:近代根付/素材:木/寸法:3.8cm 個人蔵
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「茶羅紗提げたばこ入れ」 袋の寸法:縦7.3cm×横12.3cm 緒締:ガラス/根付:木(蝸牛に蟻)/銘:自化眼文 たばこと塩の博物館蔵

※画像はたばこと塩の博物館「細密工芸の華 根付と提げ物」から転載しました。

 

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